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30半ばから40代のPLO中堅幹部が、開講式の席に着きました。聞くと見るとは大違い、スーツの似合うリュウとした紳士達です。みんな英・仏・独などの有名大学卒のエリートで、物腰も言動も柔らかです。通常研修員の滞日期間は約6ヶ月ですが、彼等は国情もあるのでしょう、1ヶ月余で「汚水処理」を学びました。パレスチナの年間降雨量は僅か800ミリ、日本なら台風1個か2個分に過ぎません。水の大切さは私達の想像を超えます。飲み水をはじめ生活用水はすべて井戸水、用済み後の汚水も再生します。地表に近い地下水は、イスラエルが張り巡らした取水管と強力ポンプで、同国へ持って行かれるので、パレスチナ人はすごく深く掘らないと(深さは忘れました)、水が出ないそうです。ヨルダン川西岸の方が、ガザ地区よりはましだとも話しました。
彼等の滞在中、何のトラブルも起きず、警察もホッとしました。私はPLOへの認識を改めました。閉講式で私達は、「パレスチナ国家の樹立を祈る」とエールを送り、彼等は「日本の支援に深謝する」と述べました。9.11以降のイスラム過激派のテロ集団とは、どこか違うような気がする、それが今の私の感想です。研修員の顔も名前も覚えていませんが、彼等の多くが「パレスチナ暫定自治政府」の上層部にいることは確かだと思います。