筑豊(筑前と豊前)名物の芝居小屋です。この種の小屋は全国に7軒しか残っていません。大正10年に設立され、火事・台風・豪雨などで再三被災しながら、地元の情熱でその都度蘇りました。全国座長大会というのが「売り」の一つですが、座長といっても、フランチャイズ小屋を持つのは少なく、大半は流れ旅の一座です。客席の幅18米、梁が頑丈で柱はありません。
この小屋は客席1,200名分、休演日は舞台を含め全館を解放して見学料を取ります。私は10月末の休演日を選んで行きました。舞台から見て2階席の一番奥が、いわゆる「つんぼ桟敷」、役者のセリフが聞こえない席です。歌舞伎とは異なり、主な役者は客席から舞台に向かって右側の花道から登場しますが、幽霊や悪役は左側の袖口から現れます。奈落に降りてみました。結構広く殆どは立ったまま歩けます。左にあるのは回り舞台の底部で、人力で廻しています。
嘗て炭坑で栄えた筑豊、今は自動車工場・この劇場・伊藤伝右衛門旧邸などで振興を図っています。