金刀比羅宮の参道の中腹に香川県から出征して凱旋した勇士が建立した戦祥紀念碑(題額東郷大将、漢文355字)がある。その末尾の刻は「仰賛聖明皇徳高明治三十九年十二月 讃岐中川儁撰 正五位日下部東作書」である。書の日下部東作は明治の書聖鳴鶴(端正な楷書)であるが、撰文の中川儁が確認できず十年来の悩であった。今年五月「掃海殉職者顕彰碑」に参拝する前に高松の県立図書館を尋ねた。そこで司書の提示してくれた和綴本栗山詩集に中川儁著の刻字がすぐ眼に入った。翌日この喜びを懐に琴平の参道785段(786なやむ-1段)を辿った。拝殿前からの讃岐平野は絶景であった。来る年も諸般許す限り「悩む-1」段に杖を曳きたい。
(以上)
これは片桐宏平君からFAXで送られてきたものを、是枝がなるべく忠実に転記したつもりのものです。彼は字数オーバーを気にしていましたが、難しい字句が多く勉強になりました。有難う。
(終り)