94年正月明けに、南アフリカ共和国の研修員6名が九州センターに来ました。1カ国だけで編成する特設コースで、今年が3回目です。これまでは黒人だけでしたが、今回は黒3、白3でした。オリエンテーションや日本語学習の10日間は順調でしたが、本番の講義・演習が始まって1週間、問題が起きました。白・黒双方が「カリキュラムを別々にしてくれ。」と言うのです。実は、私達も懸念していました。白は大卒、黒は職業訓練校卒で、知識レベルが予想以上に開いていました。色々話し合った挙句、やむなく別建てにしました。教室も講師も通訳も倍要るので、割り振りに苦労しました。私が白黒と言ったのを侮蔑的と思われるかも知れませんが、彼等は気にしていませんでした。この年にマンデラ大統領が就任したのですが、それ以前マンデラ議長時代から、有名なアパルトヘイト(人種隔離政策)は後退して、偏見や僻みも減っていることを実感しました。純粋に知識水準の不整合の問題でした。
ここで又仕組みを少し述べます。外務省は、被援助国に翌年の研修員受入れ数を割り当てます。同時に600近いJICAの全コース名、科目別日数、研修の到達目標その他詳細を知らせます。相手国は自国に役立つコースを選び、研修員を募って選考します。研修員資格には、学歴・年齢・現職業・英語能力・健康状態等々、幾つかの厳しい条件があります。ただし、国によって研修参加の難易度はすごく違います。中国などは、3回の試験をパスせねばなりません。メキシコは殆どフリーパスです。堅苦しくなりました、次回に廻します。 (つづく)