前回に続いて、パナマ、スエズと並ぶ世界三大運河の一つ“キール運河” を思い出探訪します。
子供の頃、生徒時代、実社会を通して以上三つの運河を世界三大運河に数えてきました。三井船舶、日本郵船も、この三運河を「世界三大運河」として、世界一周クルージングキャンペーンの売りにしています。規模、建設歴史、船舶運航実績からも、また実際に走ってみてもほかに代わるものはないと思います。 さて 閑話休題
キール運河はドイツとデンマークの国境近く、北海とバルト海を結ぶ運河で、バルト海側にキール軍港があります。1895年開通、全長98㎞、通航時間8~9時間。
ドイツ戦艦を北海に廻す為につくったといわれていますが、前大戦
からUボート基地(左の写真は
平成7年<’95>撮影)としても有名な古い軍港都市で、親身な熱烈歓迎を受けました。キールはホルスタイン州の州都で、ホルスタイン牛の群れる牧歌的な景色が続き、両岸からのドイツ国民の歓迎も続きました。
通常、パイロット(水先案内人)は一人ですが、この三運河ではパイロットと操舵員が二人一組で乗り組んできます。交代ペアーが乗艦することもあります。行き交う船の間で慣れたものです。
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① キール橋上のキール市民、日本人会の日の丸、テープ、横
断幕の見送り :
この光景は遠航ではよく見掛ける光景です。遠航の目的は
実習幹部の慣海性・国際感覚の涵養、友好親善寄与である
が、寄港地での要人訪問、儀礼交換、大使館・艦上レセプショ
ン、史跡研修、洋上慰霊祭等を通して有形無形の収穫も多く、
写真の見送り風景からも友好親善に多大の成果収めているこ
とが示されていると思います。
② 昭和38年(’63)第7回遠航でキール橋を通過する「てるづ
き」
③ 昭和45年(’70)第14回遠航で「かとり」から2番艦のキー
ル橋通過を望む
④⑤ 平成7年(’95)三鴎会ツアーで独海軍兵学校訪問後、キ
ール海軍施設に向かうバスの車窓から望むキール運河とキー
ル軍港内でのスナップ
▼ 海を眺めていて退屈することはありませんが、陸地が見えない日がつづくとヴァイオリズムが単調になることがあります。毎週金曜日昼食のカレーライスは
めりはりをつけるための海軍時代からの生活の知恵か。
めりはりをつけるための艦ごとのアイデアもあります。航海上のポイントを通過する「通過証」の発行、赤道祭り。アドリブ的には、イルカの群れに遭遇した時、艦内マイクで「両舷にイルカの大群」と見物を呼びかけたり、「間もなく赤道を通る。赤い線が見える」と若い隊員をからかったり(これはあとが続かない一瞬芸)。
下の写真は昭和37年(’62)第6回オーストラリア遠航往復の「てるづき」の赤道通過と昭和45年(’70)第14回遠航のインド洋における「かとり」の赤道祭り。
▼ 昭和38年(’63)第7回ヨーロッパ遠航における「てるづき」のインド洋の赤道通過と同じく地中海、ドーバー海峡の子午線通過(往復)。